「また会いましょうね」を実現 — 伊都の杜で、はじめての偲ぶ会を開きました
こんにちは。ホスピス住宅ビーズの家、ケアマネジメント室の落合実です。
この夏、ビーズの家 伊都の杜で、はじめての「偲ぶ会」を開きました。
伊都の杜でお看取りをしたご家族を、あらためてお招きする会です。
私はその場にはいませんでしたが、施設長に「どんな会だったのか」を聞かせてもらい、これは記事にして残しておきたいと思いました。
今日はその聞き取りをもとに、当日の様子と、私がそこから考えたことを書きます。
「亡くなったら さようなら」でいいのだろうか
開催のきっかけは、施設長の中にあった小さな違和感だったそうです。
伊都の杜では、この夏、今お住まいの方のご家族にお集まりいただく懇談会を開きました。
それ自体は大切な機会です。ただ、準備をしながら、施設長はこう思ったといいます。
「今いる方のご家族はお呼びするのに、これまでここで暮らして、旅立たれた方のご家族には、もう会う機会がない。
お見送りのときは『また会いましょうね』と言っているのに、結局それが『さようなら』になってしまう。
それがずっと、気持ち悪かったんです」
ホスピス住宅は、最期の時間を過ごす「家」です。
だからこそ、旅立ちのあとにご家族との縁がぷつりと切れてしまうことを、私たちはどこかで当たり前にしてきたのかもしれません。
その違和感を、施設長はスタッフに話しました。
そして「まずは第1回として、『偲ぶ会』をやってみよう」と決めたそうです。
11組にお声がけして、10組が来てくださった
お招きしたのは、四十九日を終えられたご家族です。
11組にお声がけして、10組が「行きます」と返してくださいました。
(こられなかった1組の方も、急遽仕事でこれなくなった方でした。次回またお会いできることを期待しています)
「正直、これほど集まってくださるとは思っていませんでした。
『楽しみにしている』という返事を見て、うれしさと同時に、じゃあどうしよう、と焦りました」
会は8月のある晩、夕方6時から9時ごろまで。
かしこまった式ではなく、スタッフがカレーを作り、お酒も用意しました。
ご家族もそれぞれお酒を持ち寄って、リビングはにぎやかな食卓になったそうです。
そしてもうひとつ、施設長が準備していたものがありました。動画です。
お一人おひとりについて、伊都の杜に来られた日から旅立ちの日までの写真を、5分ほどにまとめたもの。
それをみんなで見ながら、「こんなことがあったね」「あのときはね」と、思い出を語り合いました。
「みんな泣いていました。スタッフも、ご家族も」
ご家族が口にした、二つの言葉
聞き取りの中で、私がいちばん心に残ったのは、ご家族から出た二つの言葉です。
ひとつめは、動画を見終えたあとの言葉でした。
「うちの人だけ、えこひいきしてもらっていると思っていました。でも、みんなにちゃんと、こうやってしていたんですね」
伊都の杜では、お一人おひとりの暮らしに合わせて、その方らしい過ごし方を一緒に考えます。
ご家族から見れば「うちだけ特別によくしてもらっている」と感じる方がいたそうです。
ところが動画を見ると、隣の席のご家族も、その隣のご家族も、同じように「その人だけの時間」を過ごしていた。
それが分かった瞬間の言葉だったのだと思います。
ふたつめは、こんな言葉です。
「亡くなって、いちばん悲しかったのは、ここに遊びに来られなくなることでした」
ここに来て、みんなとコーヒーを飲むのが楽しかった。それが、もうできなくなるのが寂しい。何組ものご家族が、同じことをおっしゃったそうです。
施設長は「いつでも来てください」と返したといいます。私も、まったく同じ気持ちです。
スタッフにとっても、大切な時間になった
この会には、介護・看護のスタッフも参加しました。
お看取りを終えたご家族だからこそ、遠慮のない言葉をいただけます。施設長は思いきって、こう聞いてみたそうです。
「あのとき、スタッフにこう言われて、実際きつくありませんでしたか。これからのためにも、正直に教えてください」
返ってきたのは、こんな言葉でした。
「最初は、声が大きくてうるさいなと思いました。でも、本当に、あの声に励まされたんです」
嘘のない言葉でした。それを聞いたスタッフは、「間違っていなかったんだな」と、静かに受け止めていたそうです。
「本当に間違っていないんだよって、他のスタッフみんなにも伝えたい。そう言った仲間がいました。次はもっと多くのスタッフに参加してほしい会になりました」
私たちの仕事は、正解が見えにくい仕事です。
よかれと思ってしたことが、本当にその方のためになっていたのか。ご本人が旅立たれたあとは、確かめる術がありません。
だからこそ、ご家族が時間をおいて、率直に返してくださる言葉は、スタッフにとって何よりの支えになります。
売り上げや数字には見えにくいけれど
私はふだん、ケアマネジメント室の室長としてビーズの家の暮らしの質を、またケアの場が継続されるために売り上げなどの数字も追いかける立場にいます。
ただ、この偲ぶ会のような取り組みは、数字には見えにくいものです。
地域で一緒に訪問看護をする他法人や他事業所の仲間からも、「お看取りしたあとのご家族が心配だ」「グリーフケアに取り組みたいが売上にならないからと止められている」そんな声を多く聴きます。
それでも、私はこう思っています。こういう場が、本部が決めた行事としてではなく、現場から自然に開かれていくこと。
それがいちばん大切で、回り回って、きっと「いいケア」につながっていく。
実際、施設長はこんな話もしてくれました。
「今日、ビーズの家に見学に来られる方がいるんです。
その方は、ここで旅立たれた方のご家族の友人で、『ビーズの家、よかったよ』と勧めてもらったそうです。
旅立たれたご家族が、私たちのことを人に話してくださっている」
ホスピス住宅は「家」であると同時に、また伊都の杜のビーズの家は糸島という「地域」の中にあります。
ここで暮らした方のご家族が、地域の中で私たちの隣人であり続けてくれる。偲ぶ会は、そのことを目に見える形にしてくれた気がします。
もちろん、旅立ちのあと、あの場所にはもう行きたくない、というお気持ちの方もいらっしゃると思います。
それも自然なことです。会にお誘いはしますが、来ても来なくても、どちらも大切な選択です。
ただ、「行っていいのかな」と迷っている方には、伝えておきたいのです。いつでも、遊びに来てください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
偲ぶ会は、まだ第1回を終えたばかりの、手探りの取り組みです。
ご家族からは「第2回もやってね」という声をいただきました。
これから、伊都の杜だけでなく、ビーズの家のほかの「家」にも、それぞれのかたちで広がっていけばいいと思っています。
またケアマネジメント室では各ビーズの家で、「ほっとけんカフェ」を開催しています。
こちらは地域の方どなたでもコーヒーなどを飲みながらゆっくりとお話が出来る場になっています。
「また会いましょうね」を、本当にする。旅立ちのあとも、ご家族とのご縁が続いていく。
そういう「家」でありたいと、あらためて思った夏でした。
ビーズの家での暮らしを少し見てみたい、という方は、見学にいつでもお越しください。
ご相談・見学のお申し込みは、ビーズの家までお気軽にどうぞ。
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