ホスピス住宅という選択肢 — 「最期は緩和ケア病棟しかない」と決める前に
こんにちは、ホスピス住宅ビーズの家、ケアマネジメント室の落合実です。
「がんがもう治療では追いつかなくなりました」と主治医から告げられたとき、ご本人やご家族がまず思い浮かべるのは、緩和ケア病棟(ホスピス病棟)かもしれません。もちろん、それも素晴らしい選択肢の一つです。ただ、私は緩和ケアに携わる看護師として終末期の現場に立ってきた経験から、「もう一つの選択肢」をご家族に知っておいてほしいと思っています。それが、ホスピス住宅です。
緩和ケア病棟と、ホスピス住宅はどう違うのか
緩和ケア病棟は、あくまで「病院の中の病棟」です。
医療の質はとても高い一方で、例外はもちろんありますが、原則として面会時間が決まっていて、食事は病院食、外出やお酒、たばこは基本的にできません。病院という場所の性質上、当然のルールです。
一方、ホスピス住宅は制度上「家」です。
たとえばビーズの家では、買い物にも出られますし、面会時間に縛りはなく24時間いつでもご家族が来られます。ご飯は毎日住宅内で手作りされているのでご家族分のご用意もできます。でも、それを食べても食べなくても自由です。お酒やたばこも、ご本人が望めば医療チームと相談しながら続けられます。
医療面でも、医療麻薬や在宅酸素、輸血までを住宅の中で継続できます。緩和ケア認定看護師や特定行為研修を修了した看護師が在籍し、24時間の看護体制が整っているので、「医療処置が必要だから病院に入るしかない」とは限らないのです。
また家なので「退院」はありません。入院したければ入院もできます。このように自由度が高い点が、ホスピス住宅の特徴の一つです。
「医学的に良い」と「その人にとって良い」は違うことがある
僕がこの仕事を続けてきた原点は、看護師になりたての頃、福岡の有床診療所で出会った患者さんたちにあります。
設備は大学病院ほど整っていなくても、長年付き合ってきた院長や婦長に会えること自体を幸せだと感じている方。肺がんなのに病院で煙草を吸って、看護師に怒られることを楽しそうに笑っている方。世の中的には「不健康」「不便」と言われる暮らしの中に、確かにその方の幸せがありました。
その後、訪問看護師として一番印象に残っているのは、ある独居のがん末期の方です。「人に迷惑をかけたくない」と病院を出て、自宅で最期を迎えると決められた方でした。ポータブルトイレに腰かけたまま亡くなられていた、その数日前にこう話してくださったのを覚えています。
「人に迷惑をかけてきた人生だったけど、これはこれで良かったのかもな」
「安全」な選択肢は、緩和ケア病棟への入院かもしれません。けれど、彼らにとっての「自分らしい最期」は、住み慣れた地域で、ご家族やお世話になった人、近所の人と挨拶を交わしながら過ごす日々の中にあったのです。世の中的に良いと言われる治療や環境が、その人の幸せに直結するとは限らない。臨床の場で僕が繰り返し教えてもらってきたことです。
「家」だから、最期まで「暮らせる」
人生の最終段階は、身体も心も一番不安定になりやすい時期です。そのタイミングで生活の場が大きく変わると、それまで支えてくれた訪問医や訪問看護師、ヘルパーやケアマネジャーとの関係も、ゼロから組み直しになります。
ホスピス住宅は「制度上は家」なので、これまでお願いしてきた訪問診療の先生にそのまま来てもらえますし、ご家族の出入りに理由は要りません。ご本人にとっては、暮らしの延長として、ここでの日々がそのまま「日常」になっていきます。
ビーズの家のスタッフは訪問看護師や訪問介護士がいますが、それ以前に同じ住宅で一緒に暮らす協同者であってほしいと思っています。医療や介護の手前で、その人の話をただ聞き、暮らしに寄り添う隣人として。「ご飯を食べてほしい」のは支援者の願いか、それともご本人の願いか。誤嚥のリスクがあっても食べたいものを食べたい、転びそうでも自分の足で歩きたい——専門職でありながらも隣人であるからこそ、そういう願いに、「安全第一の管理」ではなく「意思決定の支援」として伴走できるのが、ホスピス住宅という場の強みです。
ご家族へ — まず、見に来てください
「ホスピス住宅」という言葉に、まだ難しい印象を持たれる方は多いと思います。だからこそ私は、いつも「まず一度、見に来てください」とお伝えしています。
「雰囲気」ってとても大事です。緩和ケア病棟か、自宅か、の二択ではありません。「病院でも自宅でもない、家」という第三の選択肢が、すでに福岡にあります。残された時間をどこで、誰と、どんな表情で過ごすか。その答えを決めるのはご本人とご家族ですが、選ぶための材料として、ホスピス住宅という選択肢を、ぜひ知っていてほしいと思っています。
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